学会概要
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第8代学会長就任にあたってのご挨拶
日本精神障害者リハビリテーション学会 会長 内野 俊郎
2024年度より学会長を務めることとなりました、内野俊郎です。この重責をお引き受け
するにあたり、会員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。
本学会は、1981年の設立以来、精神科病院の中で行われる医学モデル主体のリハビリテ
ーションから、新たな生物学的・心理学的・社会的モデルに焦点をあてて様々な試みをし
てきました。学会の運営の中心を果たしてこられた歴代の会長は、いずれも当時の学会を
代表するに相応しい実績と知見と備えておられ、学会や社会への貢献のあった方ばかりで
す。先代会長の池淵恵美先生は、そのご挨拶の中で自らを第2世代と呼んでおられます。
創生期に中心を担われた先生方の次世代として日本の精神障害リハビリテーションを大き
く発展させた方々ですが、その先生達も第3世代にバトンタッチをされる時期を迎え、池
淵先生は会長としてのお役目のひとつとして次の世代へのバトンタッチを挙げておられま
した。
私は、池淵先生や、第6代会長の伊藤順一郎先生、現在も理事をお務めいただいている
安西信雄先生、後藤雅博先生という第2世代の先生たちの足跡をなんとか歩んできた、ま
さに第3世代にあたります。個人的には、この第3世代は精神科医の層が薄いことが課題で
あったと思っています。第3世代の中でもとりわけ足取りが危なっかしい私が会長の重責
を担うことになったのも、その課題の表れであるように思えます。一方で第3世代には、
医師以外の立場から本学会で活躍してきた人材が、第2世代に負けずに育っておられます
。精神障害リハビリテーションの現場を担っている人たちや、研究に取り組んでいる人た
ちの実際的な構成を考えると、それはとても自然なことと言えるでしょう。さらに第4世
代と呼ぶべき若い世代の人たちも理事、さらに各委員会の委員として参加されるようにな
ってきており、その活躍の場や職種は多様性が広がっています。
本学会は何かしらの専門職集団を代表する職能団体ではありません。様々な立場から、
日本の精神障害リハビリテーション、精神障害を持つ人たちの充実した人生の獲得を目指
す集まりです。そういった意味からは、理事会に当事者としてのアイデンティティを持つ
方が加わってくださったことも大きな転機になるように感じており、今後益々当事者、家
族との協同が進むことが期待されます。
歴代の会長と比べますと、私は研究、実践、教育のいずれの面から、また識見や人
望について遠く及ぶべくもなく、旗を振って先頭を走るような力量はありませんが、
今後の世代を代表する理事や会員の皆様と話し合いながら学会の行く末や、精神障害
リハビリテーションのこれからを考えていくというのが役割であると思っています。
臨床現場の声をきちんと学会活動に反映させ、当事者と実践家、研究者が一体とな
った取り組みを一歩でも前に進めていくため、みなさまと手を携えていけることを願
います。
(2024年5月作成)