学会概要
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第7代学会長就任にあたってのご挨拶
日本精神障害者リハビリテーション学会 会長 池淵 恵美
今年度より学会長を務めることになりました、帝京平成大学の池淵です。精神科医として、長年精神障害リハビリテーションに携わってきました。
1981年に本学会は設立されましたが、その当時は医学モデル中心で精神科病院でのリハビリテーションが主であった過去の反省から、新たに生物・心理・社会モデルへと切り替えて、リハビリテーションを本来の「社会への復権」へと発展させるべく、「生活のしづらさ(障害、disability)」の解明や支援方法の開発に力がそそがれました。1990年代にはエビデンスに基づくリハビリテーションプログラムが次々海外から紹介されて支援方法が豊かになるととともに、精神保健福祉制度の整備が進んで、精神障害を持つ人の地域での生活が現実になってきました。さらに2011年の障害者基本法の制定などによって、社会で仕事をすることが以前よりは容易になってきています。こうした流れの中で、社会の一員として自負を持ち、障害を持ちつつ生きていく人たちが、さまざまなところで発言するようになっています。
このように、精神障害リハビリテーションはここ40年で大きな展開を遂げています。創世記の専門家(第1世代)たちが第一線を引き、ついでリハビリテーションを大きく発展させた第2世代が順次定年を迎えてきています。そして学会の役員に第3世代の人たちが参入してきてくれるようになりました。バトンタッチのタイミングだと感じています。
精神障害を持つ人たちが、より充実した生活を送れるように、第3世代の活躍を応援していきたいと思っています。そして、まだまだ解明・克服できていない、障害についての研究や支援方法の開発、根強い偏見に対して、ノーマライゼーションを実現する社会を目指していきたいと思います。そのための、市民・障害を持つ人・家族・専門家が一体となって、共同創造の精神で力を合わせていけたらと思います。一緒に次のよりよい社会を目指しましょう。
(2021年5月)